個人再生のメリットとデメリットを紹介!
「借金を返せず、この先も返済できる見込みがない…」
そんな場合は、債務整理をすることで法的に借金を整理することができます。
個人再生は債務整理の一手法であり、再生計画が認可されると借金を大幅に減額できるので、その後の生活は随分と楽になるでしょう。
しかし、デメリットやリスクが心配で手続きに踏み切れない、という方も多いと思います。
個人再生は一定の場合にはメリットの大きい制度ですが、その裏返しとしてデメリットがあることも否定できません。もっとも、噂が先行してしまっている部分もあり、必要以上に不安を感じてしまっている方も少なくありません。
ここでは、個人再生を検討している方に向けて、個人再生の具体的なメリット・デメリットや、勘違いされがちな誤解について詳しく解説をしていきます。
このコラムの目次
1.個人再生とは
個人再生は債務整理の一種で、冒頭で述べた通り、借金を大幅に減額することができる制度です。個人再生が認可されれば負債をおよそ1/5程度に圧縮することが可能で、金額によっては最大で1/10まで減らすことが可能です。
個人再生はあくまでも負債を「減額」する制度なので、認可後は圧縮後の残債を再生計画通りに返済していく必要があります。残債は原則3年、最長でも5年のうちには完済をしなければなりません。
個人再生の手続には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類がありますが、個人再生をする人のうち、全体の9割は小規模個人再生を利用しています。
個人再生は誰でも利用できる訳ではなく、以下の条件を満たしていることが求められます。
- 将来に渡って継続的、または反復的な収入があること
- 住宅ローンを除く負債が5,000万円以下であること
- 債権者数又は負債額の過半数を占める債権者が反対しないこと(小規模個人再生の場合)
- 過去7年間にハードシップ免責の許可決定、 給与所得者再生・自己破産の認可決定を受けていないこと(給与所得者等再生の場合)
以上が個人再生の主な条件です。
個人再生が認められると、債務者には様々なメリットがあります。
2.個人再生のメリット
個人再生の主なメリットは次の4点です。
(1) マイホームを残せる
個人再生の最大のメリットは、マイホームを残せることです。個人再生には「住宅資金特別条項」、いわゆる住宅ローン特則があり、住宅ローンについては債権者の対象から外すことが可能です。
これにより、住宅ローンを借りる際に銀行や保証会社の抵当権の設定をしていても、住宅を没収されることはありません。
住宅ローンを債権者の対象から外すことにより、住宅ローンについては減額をしてもらうことはできませんが、他の借金が減額されるので住宅ローンの返済は楽になります。また、住宅ローンについても最長で10年間返済を延長してもらうことも可能です。
このように、個人再生で住宅ローン特則が適用された場合は、引き続き自宅に住み続けながら経済的な再建を図ることができるので、債務者にとってそのメリットは計り知れないものがあります。
(2) 職業制限がない
債務整理の方法のうち自己破産手続においては、その手続中は生命保険募集人、宅地建物取引士、警備員などの一定の職業には就けないという、いわゆる「職業制限」があります。
しかし個人再生においてはこれらの制限がありません。上記のような職業の方にとっては仕事を続けながら債務を整理することができるという大きなメリットがあります。
(3) 一定の財産を保持できる
個人再生は借金を大幅に減らすことができますが、財産の没収はありません。
債務整理の中でも、自己破産は20万円以上の財産は原則没収されてしまいますが、個人再生にはそうしたデメリットはありません。
その意味では、例えば個人事業主の方などは一定の事業用設備を維持したまま債務を整理することができ、その後の生活への影響も限定的ですので、いち早く経済的な再建をすることができます。
個人再生を弁護士に依頼すると、債権者に対して受任通知が送付されます。
受任通知が送られると、以後は債権者から督促がくることはありません。受任通知が送付された後に取り立てをすることは貸金業法で禁止されているためです。
よって、受任通知が送付されたらその後は督促に怯えることもなくなります。
業者からの督促がなくなるだけでも精神的にはとても楽になりますし、個人再生手続きも落ち着いて進めることができるでしょう。
3.個人再生のデメリット
このように、個人再生には多くのメリットがありますが、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
(1) 借金が免除されるわけではない
個人再生は負債を「減額」する手段であり、破産と異なり負債が「免除」されるわけではありません。減額された負債額を3年から5年の間に返済していくことが必要です。
さらに、これに加えて住宅ローン特則を利用する場合には、住宅ローンは減額されませんので、原則、約定通りに支払っていく必要があります。
したがって、手続開始時に一定の収入が継続反復して得られる見込みがあることは当然ですが、その後に万が一、病気や減収などの予期せぬ原因によって見込み通りの収入が得られなくなった場合には、再生計画の履行が困難となってしまう可能性があります。
(2) 住宅ローン特則には条件がある
住宅ローン特則は誰にでも適用される訳ではなく、自己が所有していること、自己が居住していることなど、一定の要件があります。これらの要件を満たせないと住宅ローン特則は利用できません。
また、住宅ローンの残高が住宅の時価評価額を下回っている場合、差額が財産と見なされるので最低弁済額が高くなる恐れがあります。
その金額によっては個人再生をする意味がなくなる場合もあるので、住宅ローン特則の恩恵を受けられるかどうかはケースバイケースというのが実際のところです。
(3) ブラックリストに登録される
個人再生に限らず、債務整理をすると5~10年ほどブラックリスト入りします。
ブラックリストに入るということは、信用情報機関に事故情報が登録されることを意味するので、その期間は新たにクレジットカードを作ったり、借り入れをしたりすることはできません。保証人になることもできないので、その点は注意が必要です。
何年もクレジットカードを作れないのは不便ですし、子供いれば進学時に教育ローンが必要になることもあり、不便さを感じることも多いでしょう。
しかし、新たに借り入れができないということは、見方を変えれば借金をしなくて済むということなので、ブラック入りしている期間は再び借金返済に困るようなことにはなりません。
その意味では、借入できないことはデメリットというよりはむしろメリットと考えることもできます。
(4) 官報に掲載される
個人再生をすると、住所・氏名が官報に掲載されます。
官報は誰でも閲覧することができるので、そこから個人再生の情報が洩れるリスクはあります。しかし、官報を日常的に目にする人は極めて限定されますし、一般の人で日頃目にしている人はまずいませんので、この点はさほど心配をする必要はないでしょう。
(5) 所有権が留保されている資産(例えばローン返済中の車)が引き揚げられる可能性
個人再生は財産の没収はありませんが、住宅ローン以外で、ローンにより取得した資産、例えばローンで取得した車は、ローンが残っている場合にはローン会社によって車が引き揚げられる可能性があります。
4.個人再生の誤解
ここまで、個人再生のデメリットについて解説してきましたが、ここからは、よくある誤解について取り上げます。
個人再生をしても次に挙げるようなことはありませんので、ご安心ください。
(1) 住民票や戸籍には掲載されない
個人再生をすると、住民票や戸籍に載るのでは?といった噂もありますが、これは完全に誤りです。
確かに、官報には情報が掲載されますが、住民票や戸籍に個人再生の記録は残りませんのでご安心ください。
(2) 選挙権がなくなる、ライフラインが止まる、引っ越せなくなることはない
個人再生をすると選挙権がなくなる、水道や電気が使えなくなる、引っ越しができなくなる、といった噂もありますが、これも誤りです。
選挙権やライフラインは個人再生や自己破産をしても影響を受けることはありません。
引っ越しについては、自己破産をした場合のみ状況によっては一定期間引っ越しの制限を受けることはあります。
しかし、個人再生では一切そうした縛りはありませんので心配は無用です。
5.個人再生の相談は弁護士へ
上記のとおり、個人再生は、住宅ローン付きのマイホームを維持できる、職業に関係なく債務を整理できる、一定の財産を維持できる可能性があるという点で破産と異なり、かつ、負債を大幅に減額できるという点で任意整理と異なる特色を持つ、債務整理の一方法です。
個人再生に成功をすれば借金を大幅に減額できます。
とはいえ、個人再生は債務整理の方法の中でも、最も手続が煩雑で難しいものです。
泉総合法律事務所では個人再生の経験が豊富にあり、これまで多くの方の個人再生手続きを成功させています。
借金問題のご相談は無料で行っておりますので、東京都23区、小田急線・京王線沿線にお住まい、お勤めの方で、借金返済でお困りの場合は、泉総合法律事務所新宿支店にどうぞお気軽にご相談ください。
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