刑事事件

酔っ払った状態で暴行事件を起こすと逮捕されるのか?

有名人が酔っ払って暴行を働き、逮捕されるという事件が時たまに報道されます。
皆さんの周囲でも、そのような事件の話を耳にすることがあるかもしれません。

酔っ払って他人を暴行すると、場合によっては逮捕・起訴されてしまう可能性もあります。
暴力事件は、できる限り早めに示談を成立させることで、生活への影響を最小限に抑えることが大切です。

今回は、酔っ払って暴行事件を起こしてしまった場合の罰則、示談の重要性などについてご説明します。

1.暴力事件の罰則

まずは、暴力事件を起こしてしまった場合にどのような罰則が科せられる可能性があるのかを見ていきましょう。

(1) 暴行罪

人に殴る蹴るなどの暴行を加えた場合は、刑法208条により「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処せられる可能性があります。

人に怪我をさせた場合の傷害罪が最大15年、人の物を盗んだ場合の窃盗罪が最大10年の懲役刑に処せられるということを知っていれば、軽微な罪とお思いになるかも知れません。

しかし、定められた刑期が短くても、たとえ軽い罰金刑以下の刑が科される場合でも、刑事処罰を受ける=前科がつくことによる非利益は小さくありませんから、軽く考えるのは禁物です。

暴行罪における暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使と定義され、殴る蹴るなどの典型的な暴行行為だけでなく、物を投げるなどの間接的な暴行行為もこれにあたります。

たとえ、石を投げて当たっていなくとも、人に恐怖や不快な感情を抱かせる可能性のある行為は暴行罪として罰せられる可能性があります。

これら以外でも、人に水をかける、髪の毛を切る、腕を強くつかむ、嫌がらせ目的で大音量の音楽を聞かせるなども暴行罪となりえます。
人に怪我をさせる可能性が全くない場合でも暴行罪は成立するので、軽い気持ちでした行為が、思いがけず犯罪になってしまうことも少なからずあるでしょう。

罰則にある拘留もしくは科料とは「1日以上30日未満の身体拘束か、1000円以上1万円未満の金銭の支払い」を指します。ただ、これらの罰金よりも軽い刑罰が適用されることはあまりありません。

(2) 傷害罪

暴行の中でも、怪我をする可能性がある行為を行った末に相手方が実際に怪我を負った場合には、傷害罪が適用されます。

刑法204条は、傷害罪につき「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処すと規定しています。すり傷でも瀕死の重傷でも同じ罪となるので、被害の程度や行為の悪質性に応じた適切な処罰をするために、懲役刑の刑期の幅が非常に広くなっています。

傷害が成立するには、人の生理的機能に支障をきたす結果が生じた事が条件です。軽い打撲程度であれば暴行罪で処理されることもあるようですが、病院に行くほどの怪我であれば通常傷害罪として立件されます。

罰則から見てわかる通り、暴行より傷害罪の方が重い罪となり、被害者の損害を償うために必要な賠償も高額になります。相手が怪我をしているため、当然ともいえます。

このように、暴行罪と傷害罪の違いは相手が怪我を負ったかどうかです。
居酒屋や路上などで口論となり喧嘩に発展した場合には、このどちらかの規定が適用されるのが一般的です。

2.酔っ払いによる暴行の罪

では、酔っ払って暴行を働いた場合は、量刑などに影響することはあるのでしょうか。
「飲んだうえでのことだから……」「酔っ払って何も覚えていない」、これらは全く言い訳になりません。

たしかに、刑法39条では、心神喪失と心神耗弱について規定しており、心神喪失の場合には「罰しない」、心神耗弱の場合には「減軽する」と規定しています。

心神喪失とは、行為の是非を弁別する能力又はその弁別に従って行動する能力が全くない状態です。簡単に言えば、自分のやっていることが他人や社会からどう評価されるか理解できないということです。

心神耗弱は、これらの能力が著しく低下した状態を指します。

これらの能力は、行為者が自分の判断と遺志に基づいて犯罪行為を行ったことの責任を問うために必要な要件であり、責任能力と呼ばれます。

では、酒に酔っていたことは、責任能力に影響するのでしょうか?

飲酒した酩酊状態は、「異常酩酊」と「単純酩酊」に分けることができます。

異常酩酊とは、著しい興奮状態が長く続き、沈静と再燃を繰り返すなどの状態(複雑酩酊)や、意識障害や幻覚妄想を生じ、今がいつで、自分がどこで何をしているかわからなくなり、不可解な言動を繰り返すなどの状態(病的酩酊)を指します。

その原因は、遺伝的な素因・アルコール依存症・脳挫傷や脳梗塞などの脳器質性障害・極度の疲労や衰弱状態とされています。

これに対し単純酩酊とは、一般的な「酔っ払った」有様で、泣き上戸になる、笑い上戸になる、感情が安定しないなどの状態であり、心神喪失や心神耗弱とは認められません

刑事処分にあっては、複雑酩酊であって心神耗弱が、病的酩酊であって心神喪失がようやく認められる傾向にあるのです。

自分が暴行行為をおこなったことを「酒に酔って覚えてない」としても、現時点で覚えていないだけで、犯行時点では、暴力行為をすることが許されることかどうかを判断し、その判断にしたがって行動することができたはずのケースが大部分であり、簡単に心神喪失や心神耗弱が認められるわけではありません。

もちろん、酔っ払っていたこと、暴行したことを覚えていないことが事実であれば、取り調べに対して、それが事実であることを主張してかまいません。

しかし、それが無罪や罪を軽くする方向に結びつくと単純に考えることは誤りです。

むしろ、暴行を酒のせいにして反省していないとか、酒を飲めば暴れることを承知で軽率にも飲酒したというように、捜査機関に悪い印象を与える結果が生じかねません。

3.暴行事件で示談が重要な理由

酔っていたことなど言い訳にならない以上、酔ったうえでの暴行事件を早期解決するには、示談をできるだけ早くに成立させることが重要です。

最後に、示談の重要性と示談金の額について見ていきましょう。

(1) 早期釈放・不起訴の可能性が高まる

示談とは、被害者との和解です。被害者に対し謝罪の意を示し、謝罪を受け入れてもらい、示談金を支払うことで、当事者間では問題が解決したことにするのです。

刑事事件において、特に暴行事件においては、示談があるかどうかが起訴・不起訴に大きく影響します。

暴行事件の場合、捜査機関は被害者との示談が成立していれば不起訴とするケースも多く、早期釈放に有利な事情となります。
また、正式な起訴ではなく略式起訴(法廷での公判は開かれず、罰金刑のみ)にとどめる、起訴が行われても示談が有利な情状として考慮され刑が軽くなる、執行猶予が得られる可能性が高まるなど、示談の効果は大きなものがあります。

示談を成立させたことの証拠となる書類である示談書には、被害者が刑事処罰を望まない旨を記した「宥恕文言」を入れてもらいます。要は、お許しを頂いたという意味です。
起訴・不起訴を決める際、社会的な影響がさほど大きくないような事案では、被害者の処罰感情が重視されるため、宥恕文言の有無は結果に大きく影響します。

検察官の判断結果が不起訴となれば前科がつくこともありません。

このように、暴行事件では示談は非常に重要といえるのです。

(2) 暴行事件の示談金の相場

示談金の相場としては、悪質でない暴行事件の場合は数十万円程度で被害者が納得してくれるケースが多いでしょう。もちろん、これといった公的な指針があるわけではないので、成否は唯一被害者が受け入れてくれるかどうかにかかっています。

金額に影響する事情としては、行為の悪質性が挙げられます。執拗に暴行を繰り返した、日常的に暴行を行っていたような場合は悪質性が高く、被害感情も強いため相応に大きな金額でなくては被害者の納得を得られない場合が多いでしょう。

酔っ払って双方が言い合いになり、お互いに殴りあったなどの事情があれば、双方に落ち度がありますので、一方的な暴行行為に比べれば悪質性は高くなく、高額でない示談金で合意できる場合もあるでしょう。

暴行事件における示談金の相場はあくまで目安です。どれくらいの金額を用意すべきか気になる方は、実際の事件の内容を弁護士に話し、聞いてみるのが一番です。

4.暴行事件の示談交渉は弁護士にご依頼ください

暴行事件を早期に解決するためには、一刻も早い示談成立が必要です。

示談交渉は当事者間では感情のもつれから難航しがちです。示談交渉はプロである弁護士に任せる方が、スムーズに進められるでしょう。

暴行事件に巻き込まれお悩みの場合は、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。刑事事件の解決実績豊富な弁護士が、早期事件解決のために尽力いたします。

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