痴漢で逮捕されたらどうなる?家族が弁護士に依頼するメリット
「旦那さんを痴漢の容疑で逮捕しました」
警察からそんな電話がかかってきたら、誰でも気が動転してしまうものです。
刑務所に入れられることになるのか、罰金刑になるのかなど、今後どうなってしまうのかが気が気ではないでしょう。
今回は、痴漢で逮捕された方やそのご家族のお悩みに応えるため、弁護士が逮捕後の適切な対処方法を詳しくご説明します。
このコラムの目次
1.2種類の刑事手続き
一般には痴漢とひとくくりにされることが多いですが、手で触れるなどして他人に性的な侵害を加える行為は二つの法令のいずれかで処罰されます。痴漢で逮捕される多くの場合は、電車内で人の衣服の上から身体に触るなどの行為を禁止した「迷惑防止条例」違反を問われます。
ただし、下着の中に手を入れて直接に身体に触るなどの悪質な場合は刑法の「強制わいせつ罪」で逮捕される事例もあります。
逮捕後の被疑者(加害者、一般用語でいう容疑者)は、どちらの罪においても、引き続いて勾留されて留置場で身柄を拘束される場合と、勾留されずに釈放されて在宅のまま捜査が進められる場合があります。
以下で、それぞれの流れを見ていきましょう。
(1) 逮捕後、引き続き勾留される場合
逮捕から48時間に以内に身柄を検察官に送致され、検察官は受取後24時間以内かつ逮捕から72時間以内に裁判官に対して勾留請求をします。
裁判官が勾留を決定すると、その後も10日間から最大20日間、警察の留置場での生活を強いられます。
痴漢の中でも勾留されやすいのは以下のようなケースです。
- 否認をしている→それ自体が勾留をする理由にはなりませんが、証拠隠滅等捜査妨害をするおそれがあるとみなされる可能性があります。
- 住所不定→法令に勾留理由として明記してあるのでほとんどの場合勾留されます。
- 同種前科がある、同種余罪がある→通常より重い処罰が想定されるので、逃亡等をしやすいとみなされます。
なお、強制わいせつ罪が問われるような悪質なケースでは、検察官に逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと判断されて勾留請求される可能性が高くなります。
勾留されてしまうと、被疑者は相当な不利益を受けます。慣れない留置場生活で心身に大きなストレスを受けますし、会社員の方の場合、正当な理由なく通勤ができないので解雇の可能性が出てきます。学生なら退学の危険が発生します。
(2) 逮捕後、釈放された場合
痴漢で逮捕された後、釈放されやすいのは以下のような場合です。
- 計画性や手口、結果等を全体的に見て悪質な事案ではない
- 被疑者がしっかり反省しており、逃亡や証拠隠滅の恐れがない
- 同種前科、同種前歴がない
- 住所や勤務先が定まっており家族と同居している
- 同居の家族等監督者が被疑者の身柄の引き受けと捜査協力を申し出ている
迷惑防止条例違反の初犯で、本人もしっかり反省しているケースなどでは、検察官に勾留請求されないで済む可能性が高いでしょう。
この場合、被疑者は普通に家で過ごせます。通勤や通学もできますし、見張りなどもつきません。
ただしその間も、警察や検察は捜査を進めています。
捜査の進行に伴い、取り調べ等のために呼び出されることがあります。
2.家族が痴漢で逮捕されたときにするべきこと
もしも夫や息子などの家族が痴漢で逮捕されたら、ご家族は以下のような取り組みが可能です。
(1) 被疑者との面会(接見)
警察で身柄拘束されると、「今後どうなるのか?仕事はクビになるのか?家族に迷惑をかけているのでは?」と、不安な気持ちになるものです。
そんなときには、家族が顔を見せて励ましてあげることが大切です。
また、書籍、下着、現金(拘束中でも中で食品などの買い物をすることができます)を差し入れてあげると良いでしょう。
ただし、逮捕後勾留までの期間は、家族であっても面会できません。その間に被疑者に会えるのは弁護士だけなので、早くに接見して伝えたいことがある場合や本人の様子を確かめたい場合には、弁護士に接見を依頼する必要があります。
勾留に移行してからも、家族など弁護士以外の人との面会には一日一組まで、一回15分まで、平日の9時から17時までの時間帯に限るといった様々な制限がありますので、頻繁な連絡が必要な場合には弁護士を通じてすることが望ましいです。
(2) 弁護士に依頼する
痴漢で逮捕されたとき、なるべく不利益を小さくするには法律的な知識と専門のノウハウが必要です。
たとえば、取り調べの対応方法や被害者との示談交渉の進め方・タイミングなど、初めて逮捕された方やそのご家族には分からないことばかりです。
適切に対応するため、お早めに弁護士にご依頼下さい。
特に、被害者と示談を進めるには弁護士が必須です。
通常は痴漢の被害者と被疑者には面識がないので、まず被害者と連絡を取ることを目指すことになりますが、捜査機関は被害者の保護のためにその連絡先を明かすことはありませんから、逮捕されている本人はもちろんのこと、家族が代わりに被害者に連絡を入れて謝罪をし、慰謝料の話をするのは通常は困難でしょう。
示談が成立したら不起訴の可能性も高くなりますが、勾留された場合、勾留期限が切れるとともに検察官が処分を決めるのが通例であり(例外もあり)処分決定までのタイムリミットが短くなっています。
家族が逮捕されたら、一刻も早く弁護士に相談してください。
3.痴漢で逮捕されたとき、弁護士に依頼するメリット
(1) 逮捕直後から接見可能
先述の通り、逮捕後勾留されるまでの間は家族でも面会できませんが、弁護士であれば自由に接見(面会)や差し入れができます。
また、その後家族が面会しても、捜査官が立ち会い、面会時間も10~20分程度に制限されます。
一方、弁護士接見の場合には誰も立ち会わず秘密が守られますし、面会時間も制限されません。
弁護士が早期に接見して必要なアドバイスを行うことにより、被疑者も安心できて、取り調べなどに対しても落ち着いて対処できるようになります。
(2) 効果的に示談交渉を進められる
痴漢でなるべく早期の不起訴処分を獲得し、不利益を小さくするには、被害者との示談を成立させることが重要です。
示談交渉では弁護士にしかできないことがたくさんあります。たとえば、被疑者が被害者の連絡先を知らない場合でも、弁護士であれば検察官を通じて被害者に打診し、必要な情報を入手できる可能性があります。
また、実際に連絡を入れる際も、紛争解決のプロであり守秘義務を負う弁護士が丁寧な態度で被害者に接すると被害者も安心して示談に応じやすいものです。
示談が成立したら、いち早く検察官へ報告し、早期の不起訴処分を促します。
4.家族が痴漢で逮捕されたら弁護士に相談を
家族が痴漢で逮捕されてしまった場合、不起訴を得ない限りは罰金でも前科となってしまいます。
泉総合法律事務所は、前科がご本人やご家族に与える影響を重く受け止め、前科を避けるための不起訴の獲得に弁護士一同で積極的に取り組んでおります。
不起訴の獲得には被害者の方との示談が非常に重要となりますので、ご家族が痴漢で逮捕されてしまったという方は、どうかお早めに弁護士にご相談いただければと思います。
東京都23区、小田急線・京王線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所新宿支店の無料相談をぜひ一度ご利用ください。
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