投資市場の動向に左右され資金繰りができなくなった事例
債務整理方法 | 借金総額 |
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自己破産 | 1億8000円⇒0円 |
背景
本件会社は、ファンドの組成や未公開株式の販売など投資販売を営んでいる会社です。
この会社は、最大で7億円近くの資金を運用していたこともありました。
もっとも、この会社は、営業職の従業員を40名近く抱えており、人件費の負担も大きかったことから、金融機関からの借入によって、これら経費を補てんしていました。
その後も、会社の経費増加が続いていたことから、従業員の解雇などを行って、会社の事業規模を縮小しようと試みました。しかし、その直後に、この会社が取り扱う予定であった大手ベンチャー企業が株式公開を取りやめるなど想定外の事態が生じ、さらには世界的な不況の影響から株式投資自体も冷え込み、会社の経営状況はみるみるうちに悪化していったのです。そして、本件会社の社長であるAさんは、心労がたたって病気になってしまいました。
その後、Aさんが一時的に会社経営から離れていた間に、会社の資金全額が金融機関への返済に充てられ、会社を運営していく資金が底を尽きてしまいました。その結果、本件会社は営業を停止せざるを得なくなりました。その後も、Aさんが、個人的に債務の返済を継続していましたが、会社の抱える膨大な負債が減ることはありませんでした。
そして、もはやこれ以上自分では借金の返済をすることができないと感じたAさんは、債務整理を依頼するため、当事所へ相談にいらっしゃいました。
対応
当事務所へ相談に来た段階で、既に会社の営業停止から3年を経過していました。そのため、会社事務所の明渡しなどは終わっており、会社自体の資産はほとんど残っていない状態でした。もっとも、そのような場合であっても、会社資産の処分方法に問題がなかったかどうか、会社資産を代表者の親族に廉価で売却したりしていないか等を調査し、破産管財人と裁判所に報告する必要があります。
結果
会社が営業を停止してからの資産処分について、破産申立前に弁護士の方で調査したところ、特に処分方法に問題はありませんでした。しかし、その調査の過程で、会社に未回収の貸付金があることが判明しました。
そこで、当該貸付金について、相手方の特定や金額を調査し、相手方に対して内容証明郵便での請求を送りました。相手方からは返答がありましたが、支払については渋っていました。そのため、当該貸付金の回収には時間がかかってしまうと判断し、未回収のまま破産申立をすることにしました。そして、破産申立後に、破産管財人から当該貸付金の相手方に請求をしてもらい、結果的には、微々たるものでしたが一部回収ができました。